「なんで、刺さないのに効くの?」という質問を受けたり、紹介してくださる方が説明に困ったりされます。
どうしても、現代医学やテレビなど見ていると針(あえてこちらの字で)は『ささないと効かない!』みたいな暗示をかけられているような気がします。そして、「痛い~」とか「ア゛~」とかでないと効かないと思っている方も少なくないのでは・・・
「深く」刺す(刺しこむ)マッサージなら「強く」(奥まで押し込む)というイメージがあるようです。(私も以前はそうでした)
患者さまやクライアント様とお話してわかったことがありました。それは・・・
ツボの位置の認識です。
どうやらツボは体内に埋もれている、というイメージです。グリグリして硬い、押すと痛気持ちいい、みたいな感じです。
しかし、あれは筋硬結であってツボとは別物です。(東洋医学では)
ツボは皮膚上にあります!!
だからどこか触ったら必ずどこかのツボには触れているということです。鍼灸の教科書にも書かれています。『皮部』という難しい言葉になっていますが皮膚のことです。『経穴』がツボの正式名称です。そこが体の奥の方を流れる全身を流れ、栄養(血など)を送る、経絡という流れにつながっているので身体が変化します。
実際に「接触鍼」という技術として古来からあるんですが、残念ながらほとんど認知されていない。という事実があります。
教科書はもちろん、鍼灸のことが初めて書かれている古代の文献、医学書にもちゃんとツボは皮膚にあると書かれていますが、現在それを厳密に伝えることは少ないです。私自身も鍼灸学校で聞いた覚えはありません。また、教員時代に私自身は今している治療法を既に施していたので学生に伝えましたが、授業として伝えることはほぼありませんでした。
なので、同じ鍼灸師でも、話には知っていても認識、技術として、知らないという方も少なくありません。
鍼灸の場合ツボを正式に経穴(けいけつ)といいます。これが最も大事みたいに思われがちですが、実はどこにそのツボが繋がるかというラインである経絡(けいらく)が本当はとても重要です。
鍼灸師がよく持ってる経絡経穴人形です。
カラフルな線がありますがこれが経絡(けいらく)です。その上に点がついてるのが経穴(ツボ)です。
カラフルな線は実は身体の中を流れているので見えませんし、解剖しても目には見えません。でもちゃんと繋がっていてどういうわけかその反応が皮膚上に現れてます。体内を見るとこんな感じです。
図の赤い線全部を総称して経絡(けいらく)といいます。大きく3種類あり経脈(けいみゃく)は一番太く深くを流れています。そこから連絡する絡脈(らくみゃく)、もっと細い孫脈(そんみゃく)と来て皮膚まで来ています。その孫脈の皮膚に表れている部分の特に敏感なところが経穴となります。
お気づきのように皮膚の経穴(ツボ)にうまく当たれば、孫脈→絡脈→経脈→臓腑(根っこ)に繋がっていくということです。ですから、無理に深く刺さなくても根っこである臓腑(内臓)にアプローチができるすなわち鍼が効く!ということが言えるのです。
小児の鍼は、皮膚を擦るだけといったのを知ってる方は多いのではないでしょうか。上記の考えなので擦るだけでも効く訳です。実は、大人も同じということです。
植物なら、葉っぱが根っこに繋がっているというのと同じで人間も外側からちゃんと内側に繋がっている。
その考えが古くから伝わっているのが、鍼灸であり、やまと鍼灸院の『ささないはり』接触鍼は最大限活用していると言えます。
「刺すのが怖い」という方が少しでも安心して受けて頂けるように日々努めています。